ベシケア（VESICARE）5mg 30錠

ベシケア（VESICARE）の概要

ベシケアは過活動膀胱(OAB：OverActive Bladder)の治療薬です。過活動膀胱とは、自分自身では排尿コントロールが難しくなり、排尿を我慢できない状態である「尿意切迫感」や、1回に大した量もでないのに何度もトイレに行きたくなる「頻尿」等の症状を引き起こす疾病です。

「尿意切迫感」や「頻尿」等が続くと、日常生活に影響がでてきて、生活の質が下がってしまいます。意図せずに膀胱が収縮してしまうことで急にトイレに行きたくなります。また何度もトイレに行きたくなり、時には間に合わなくて漏らしてしまう人もいます。そうなると過活動膀胱の治療が必要になります。

ベシケアは2006年に開発された比較的新しい薬であり、効果の半減期は約40時間と長く、1日1回の服用で十分に効果が発揮されます。半減期とは、薬の血中濃度が半分になるまでの時間のことで、その薬の作用時間を測る目安の1つになる時間です。

また、食事などの制限を受けない事も特徴の1つです。食前でも食後でも、起床後でも就寝前でもお好きな時間に服用できるという、服用時間を縛られないメリットがあります。

ベシケアは、2005年に山之内製薬と藤澤薬品工業の2つの大手製薬会社が合併して誕生したアステラス（Astellas）によって、製造・販売されています。アステラスは「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」をビジョンにし、日本のみならず、欧米や各アジア国にも様々な研究開発拠点や生産拠点を置き、世界70以上の国と地域でビジネスを展開している、世界最先端のグローバル製薬会社の1つです。

ベシケアの効果・効能

ベシケアの有効成分はコハク酸ソリフェナシンであり、頻尿・過活動膀治治療薬の中でムスカリン受容体拮抗薬と言われています。

排尿の仕組みの1つに、副交感神経から放出されるアセチルコリンという物質の作用が関係します。アセチルコリンは膀胱排尿筋の収縮と、尿道括約筋を弛緩する働きがあります。簡単に言うと、アセチルコリンが膀胱を縮めて、尿道を緩くして排尿を促すという事です。そして、そのアセチルコリンはムスカリン3受容体という物質と結合することで、膀胱が収縮する働きがあることが知られています。

ベシケアの有効成分であるコハク酸ソリフェナシンは、このアセチルコリンとムスカリン3受容体の結合を選択的に阻害します。そうすることで、アセチルコリンとムスカリン3受容体が結合できなくなり、結果として、膀胱の収縮が収まり、「頻尿」や「過活動膀胱」が改善する効果を発揮します。

ムスカリン受容体には1～5まであるのですが、コハク酸ソリフェナシンは選択的にムスカリン受容体3に対して選択的に作用することから、他のムスカリン受容体に対して影響が少なく、副作用が少ないという利点があります。

ベシケアの使用方法・注意事項

ベシケア5mgは通常、1日1回、水やぬるま湯で服薬します。水やぬるま湯がない場合は、お茶や飲料水などでも大丈夫です。年齢や症状により適宜増減できますが、1日の最大服薬量はベシケア10mgまでですので、それ以上の服薬は絶対にしないでください。

服用する時間帯は決まっていませんが、毎日同じ時間に服用することをおすすめします。眠前に使用する人が多いと言われています。また、飲み忘れに気付いた時は、すぐに服用して下さい。ただし、次回の服用分との時間が短い場合には、1回分とばして次回分から服用して下さい。絶対に2回分を1度に飲まないでください。

副作用としては、便秘、口渇、白血球数減少、血小板数増多・減少、強心層、心室性期外収縮などが報告されています。希に肝機能障害、γ-GTP上昇、アナフィラキシー、寝室ブロックなどが報告されています。すべての副作用を記載したわけではありません。その他にも、使用禁忌や併用禁忌がありますので、使用前には必ず医師や薬剤師に相談して下さい。

・使用方法に関しては、かかりつけの医師などに相談してからご使用ください。
・保管方法は、高温や湿気の多い場所は避けるようにしてください。
・副作用が出た際には、医師に相談することをおすすめいたします。